今回は美術鑑賞に興味を持った際に読むべき本について紹介します。私が読んだ中で(といっても非常に数少ないのですが)初心者向けでよかった本を紹介します。アート・美術に少し興味を持って企画展などに通うようになると「作品を見て感じる」という取り組みだけではモノ足りないことがわかってきます。まず、ここに気づくかどうか・この先に興味を持てるかが分かれ道なのかな、と思っています。「あー、ルノワールってキレイだわ〜」「モネの睡蓮って(なんか知らんけど)しょっちゅう見かけるけどええわぁ〜」という "代表的作家名+キレイor良い" となるのが第一段階。学校で知った作家名などをベースにその作家の企画展などに出かけて感想を語る段階です。(まさに私の立ち位置がこのあたり)
この第一段階を超えるべく学習するに良い書籍を紹介します。
Contents
マンガで教養 はじめての西洋絵画 川瀬佑介著
国立西洋美術館学芸員でもある川瀬佑介さんによる「マンガで教養 はじめての西洋絵画」がよかったです。
著名な絵画が時代の流れにそって優しく解説されていきます。時代背景、各作品の鑑賞ポイントが丁寧に解説されており初心者にとって西洋絵画の基礎知識、作品の味方を取得するのに適していると感じました。
絵画に興味をもったらまず手にとって欲しい本です。オススメ。
無理に全てを読もうとする必要はないです。まずは「印象派」など興味のあるパートだけでも読めばよいと思います。(自然に前後のパートも読みたくなるはずです)
Amazonの商品ページにてサンプルページの確認が可能です。
いちばんやさしい美術鑑賞 青い日記帳著
「青い日記帳」は"カリスマアートブロガーTak(タケ)こと中村剛士が主宰するブログ"です。この「青い日記帳」がまとめた(つまりTakさんがまとめた)非常にやさしい美術鑑賞術本。西洋絵画から日本画、陶芸までカバー。そして一番のポイントは国内に存在する作品が紹介されており、見に行くことができる点です!
新書であるため文字が主体ですが、表現がやわらかく、面白く、非常に読みやすい。しかも観に行くことができる身近な作品がメイン。オススメです。
チャートで読み解く美術史入門 ナカムラクニオ著
こちらは初心者には少し難易度の高かった本です。
作者や作品、時代背景を覚えた後にチャート的な整理として役に立つのが「チャートで読み解く美術史入門」。以下はアマゾンの商品ページに掲載されている説明を引用。
本書は著者が作成したチャートによって、画家の名前や作品、人脈について簡単かつ総合的に知ることができる、これまでになかった美術入門書です。「画家の成分分析」などには著者独自の新たな見解が含まれています。西洋美術と日本美術の2章構成で、美術史上最大の芸術運動であるルネサンス、日本人からも人気が高い印象派絵画、さらに日本が世界に誇る浮世絵を軸に、美術史の流れをチャートで紐解きます。著者自身による要点を押さえたイラストも、本書の見どころです。
作品そのものの写真はなく、特徴をとらえ抽象化されたイラストになっています。
イメージイラストから元ネタがイメージできないと少し厳しい印象です。
美術史に少し慣れてきて知識を整理したい、確認したい場合に有用な書籍だと感じました。(私にはまだ少し早かったな)
その他にやっておきたいこと
上記の書籍の他、美術展などを楽しむためにやっておきたい事を紹介します。私も試行錯誤の状況ですが参考になれば幸いです。
音声ガイドを必ず借りる
音声ガイドが用意されている場合には必ず借りるようにします。
絵画と音声ガイドのマッチングは最強で、目で作品を観ながら耳で解説を聞くこでができます。これが目で解説を読んで、目で作品を見るのはどうしても同時にできません。音声ガイド最強です。
音声ガイドでは会場内の解説に書かれていない情報が含まれているケースが多く、非常に参考になります。(読み上げただけのような音声ガイドもタマにありますが)
作品や時代にマッチした楽曲BGMが用意されているのも楽しみの一つです。
ナビゲーターには芸能人の方が起用されるケースがほとんどです。好みはあるかと思いますが、とにかく借りて試してみるのがオススメです。意外な魅力に気づくかもしれません。
音声ガイドは制作会社さんも工夫を重ねているので、楽しいですよ。
公式図録を読み込む
展覧会で販売される公式図録は必見です。2,000円〜3,500円という価格レンジで全てを購入するというわけには行きませんが、作品の写真が掲載されているだけでなく会場内のボードや音声ガイドでは伝えきれなかった内容が紹介されており非常に重要な資料となります。
公式図録を読みながら展示を見るのが一番良いのではないかと思っています。
会場内のベンチに図録が設置されているケースも多いので、是非時間を取って読み込んでみましょう。
ギャラリートークや講演会を活用する
展覧会開催時には学芸員さんが解説してくれるギャラリートークや講演会などのイベントが開催されます。これに積極的に参加しましょう。
作品を前に知識豊富な学芸員さんが解説をしてくれるギャラリートークは最高です。(話の楽しい方も多いです)
しかも無料のケースが多いのも嬉しいですね。
美術鑑賞を一歩進めるには知識が必要。
趣味は美術館めぐりです。美術館に行ってキレイな絵画、ステキな彫刻を観て楽しむのも良いのですが、より作品を理解するには時代背景を含む情報を知っていたほうが面白いはずです。また、ある程度の作品・作家の知識が必要です(例えばフリューゲル(父)の父って何?みたいな事)。ここが「芸術鑑賞が難しい」と思われる要因の一つです。
アートであれば「とにかく観て感じてよ」なのかもしれませんが、個人的には美術鑑賞を一歩進めるには知識が必要だなぁと思います。
映画鑑賞もストーリーを追っただけで「楽しかった」、「よかった」ということもできるのですが、画面の構図や色調などで表す心理描写や暗号的な表現もあるわけです。一歩理解を進めるにはやはり映像の基礎知識が必要です。
本当は油彩なども習って自分で描いてみるとより理解が深まるのかもしれませんね。